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2024/06/01 07:36

ある晴れた日の午後、私は久しぶりにお気に入りの白いシャツを着て街へ出かけた。このシャツは、何年か前に京都の小さな洋品店で見つけたもので、その時一目惚れしたのだった。シンプルでありながらも、どこか品のあるデザインが気に入っていた。

街を歩きながら、私はいつも通り商店街をぶらぶらと散策していた。道端の露店で焼きたてのたい焼きや、おばあちゃんが作る手作りの野菜などを眺めながら歩いていると、ふと懐かしい匂いが鼻をくすぐった。それは、揚げたてのコロッケの匂いだった。

私が子供の頃、母がよく作ってくれたコロッケは、家庭の味そのものだった。外はカリッと、中はホクホクとしたじゃがいもが口の中でとろけるあの感じが今でも忘れられない。そんな思い出に浸りながら、私は自然とその匂いのする方向へ足を向けた。

商店街の一角にある小さな揚げ物屋さんが、その匂いの源だった。店先には「手作りコロッケ」と大きく書かれた看板が掲げられており、その下にはおばあさんがせっせとコロッケを揚げている姿があった。私は無意識に「一つください」と注文していた。

揚げたてのコロッケを受け取ると、私はその場で一口かぶりついた。サクッとした衣の中から、じゅわっとあふれ出る熱々のじゃがいもとひき肉の旨味が口いっぱいに広がる。その瞬間、私は子供の頃の思い出が一気によみがえり、なんとも言えない幸せな気持ちになった。

しかし、その幸せな瞬間も束の間、私はあることに気づいた。コロッケの熱々の中身が、ぽたぽたと私の大切な白いシャツに垂れてしまっていたのだ。慌ててハンカチで拭き取ろうとしたが、油汚れはなかなか取れない。私は少し落胆しながらも、仕方がないと諦めることにした。

その後、家に帰ってからシャツを丁寧に洗ったが、やはり完全には汚れは取れなかった。しかし、そのシミを見るたびに、私はあの日の揚げたてコロッケの美味しさと、子供の頃の幸せな記憶が蘇るのだ。白いシャツはもう以前のような純白ではないが、そのシミは私にとって特別な思い出の一部となった。