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2024/06/01 07:23

梅雨の季節が終わり、夏の盛りに入る頃、私はしばしば夕立に遭遇する。その日は、とりわけ暑さが厳しく、空気が湿気に満ちていた。午後四時頃、重く垂れ込めた雲が空を覆い、風が涼しくなった。道を歩いていると、ぽつり、ぽつりと大粒の雨が地面に落ち始めた。瞬く間に、それは激しい夕立となり、私は近くの焼き鳥屋に駆け込んだ。

暖簾をくぐると、そこには煤けた木のカウンターと、煙に包まれた炭火焼きの香ばしい香りが広がっていた。親父さんが手慣れた手つきで串を返し、客たちはビールを片手にその光景を眺めている。雨音と共に店内に響く焼き鳥の音が、妙に心地よいリズムを刻んでいた。

「いらっしゃい。雨宿りかい?」親父さんの低い声が耳に入る。
「はい、突然の夕立で。冷たいビールと焼き鳥をお願いします」と私は答える。

親父さんは微笑み、冷えたジョッキにビールを注ぎ、まずはタレ焼きのねぎまを一本差し出した。炭火でじっくりと焼かれたそれは、外はカリッと、中はふんわりとした食感で、口に広がる甘辛いタレの味がなんとも言えない幸福感をもたらしてくれる。

夕立は相変わらず激しく、店の外はまるで水のカーテンのようだった。私はビールを一口飲み、再び焼き鳥に箸を伸ばす。次に出されたのは塩焼きのせせりだった。シンプルな塩味が鶏肉の旨味を引き立て、噛むたびにジュワっと肉汁が溢れ出す。

カウンター越しに他の客たちと軽く会話を交わしながら、次々と出される焼き鳥を堪能した。雨はやや弱まりつつあったが、その音はまだ店内に響いていた。焼き鳥の煙が漂う中、私はふと、この一瞬が永遠に続けばいいのにと、思わずにはいられなかった。

親父さんが最後に出してくれたのは、レバーのタレ焼きだった。その濃厚な風味と滑らかな舌触りは、今まで味わったどの焼き鳥とも違う特別な一品だった。私はその美味しさに思わず感嘆の声を上げた。

やがて雨が止み、夕陽が西の空に顔を出した。私はお勘定を済ませ、暖簾をくぐり外に出た。濡れた路面が夕陽に照らされてキラキラと輝いていた。心地よい風が吹き、空気が一変して爽やかになったのを感じながら、私はゆっくりと家路についた。